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マナビフェス回顧録|vol.12宮崎での学び

2026/04/25

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皆さんこんにちは。
一匙之事を協働主宰するアトリエさんかくの建築士谷口です。私たちはブランディングの事業を通じて、出会った地元工務店のための学びの場として毎年2〜3回「地元工務店のためのマナビフェス」というセミナー活動やツアー主催をしています。そんなマナビフェスについての報告も少しずつですが、情報としてシェアしていきたいと思います。ぜひご覧ください。

地域工務店のためのマナビフェスvol.12 in宮崎県

さて、遡ること数ヶ月。2025年末に開催したvol.12は宮崎への旅でした。
今回の講師は、宮崎県都城市を拠点とする株式会社タナカホームさまです。パッシブハウスの取り組みでも有名な田中社長の取り組みを全国の地域工務店経営者22名と視察しました。

都城市は年収300万円台の世帯が多く、住宅にかけられる予算には一定の制約があるという地域柄でありながら多棟数ビルダーとしてパッシブハウスの標準化に取り組む彼らの経営は一体どういったものなのか?
一方で、ふるさと納税では霧島こうじやマンゴーなどが全国的に知られており、地域資源としての価値は高いのが特徴的な都城市。このような背景の中で、タナカホームさまは高性能住宅を特別なものとせず、標準として提供する家づくりに取り組んでいます。

平屋規格住宅モデル

最初に見学したのは、2300万円の平屋規格住宅モデルです。床面積は25坪とコンパクトでありながら、パッシブハウス性能を担保しているから驚きです。寄棟屋根にシルバーの屋根材、外壁は白の塗壁仕上げとし、地域に馴染み内部環境にも優しい外観設計としています。また、構造は桁上断熱を採用し、建方と同時に気密処理を行うことで施工精度と合理性を両立していました。そして断熱には、EPSを使用し、厚み150ミリで地域環境に適応させています。何より注目すべきは、タナカホームのオリジナル湿式断熱工法「MeTAS」という型式認定を取得することで通気層を設けずに成立させている点も特徴的です。

そして、換気は天井と断熱層の間で計画され、基礎にはグリッドポスト工法を採用するなど、全体として合理的に整理された構成となっていました。天井高さは2300ミリに抑えられ、過不足のない空間スケールが丁寧に設計され、さらに庭を含めた一体的な計画により、外部環境も含めた住環境の質を高めています。加えて、パッシブハウス申請の有無に関わらず、その費用を顧客負担としない点から、
性能を付加価値ではなく前提として捉えている企業姿勢が明確に表れています。

 

工務店協業型のモデルハウス

次に見学したのは、工務店協業型という全国的に見ても珍しい取り組みのモデルハウスです。この住宅は宿泊体験が可能であり、単なる内覧にとどまらず、暮らしそのものを体験できるモデルハウスでした。

設計はvol.13にて講師を務めていただいた広島のアイトフースさまが担当しており、これまで性能に特化してきたタナカホームの戦略に北欧の意匠設計や暮らし方というものがプラスされています。(これまでと同様にパッシブハウス認定住宅)

準防火地域という制約の中で、トップライトや階段室を活用し、光を下階へ導くとともに、空を身近に感じる空間構成が特徴的な建物です。また、アイトフース様の得意とするサウナ室やスチームサウナを備え、日常の中に非日常的な体験を組み込んでいます。インテリアは北欧家具で統一され、ガラス器、照明、家具に至るまで一貫した世界観が構築されており、納得の仕上がりとなっていました。

さらに、家事をとにかく楽にすることも設計や設備で工夫されていました。オーブン料理を前提としたキッチン提案により、家事時間の短縮と暮らしの質の向上を両立させ、対面キッチンが一般化する中、固定概念を覆す提案に魅力を感じました。

内部写真は撮影不可でしたので、興味がある方は宮崎まで一緒に見に行きましょう!!

 

「MeTAS」施工現場視察と新社屋「ameterrace」

翌日は、「MeTAS」工法の工事途中の現場見学を経て、新社屋「ameterrace」を見学しました。事務所機能にとどまらず、ケーキショップ、打ち合わせスペース、大きな弧を描く半屋外の縁側空間、レインガーデンを中心としたランドスケープが一体的に計画されています。

街に開かれ、人が自然に通り抜けることのできる構成は、企業の思想を建築として表現した象徴的な建築。事務所という機能を超え、体験と関係性をつなぐ場として成立しているように思います。意匠設計は、ドイツ・パッシブハウス研究所(PHI)公認Certifierとしても活動している建築家、森 みわ 氏です。構造設計は、世界的な評価を受ける構造家である佐藤 淳 氏。このチーム構成も流石の田中社長。唯一無二の建築をつくる心意気を感じます。

まとめ|「未来に遺す事業」

「未来に遺す事業」として、企業規模の大小に関わらず取り組むことが重要であるという田中社長の言葉が強く印象に残った学びの旅でした。工務店の淘汰が進む中で、最後に一社となっても選ばれる存在であること。その覚悟と視点が、すべての取り組みに通底している。

特に印象深かった言葉は
「正しく学び、正しく恐れ、正しく造る。」というもの。

家づくりに対して「なぜ取り組むのか」という問いを持ち続けることが、これからの設計者、施工者に求められている現代。今回の視察を通じて、性能を差別化ではなく前提条件とすること、価格ではなく価値や体験で住宅を設計すること、そして暮らし方そのものを設計に組み込むことの重要性を再認識した次第です。

タナカホームさまの取り組みは、地域性と経済条件を踏まえた現実的かつ先進的なモデルであり、今後の家づくりだけでなく工務店や経営者にとって大きな示唆を与えるものでした。このような機会を心よく受け入れてくださった田中社長はじめ、関係者の皆様に心より感謝いたします。

今後も地域工務店の方々と学びを深める場を「一匙之事」は提供していきます。

一匙之事|谷口 恋

 

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