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【前編】ゴミは分ければ資源になる|LLL×石坂産業視察ツアーに参加して

2024/07/13

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みなさん、こんにちは!
小規模工務店の伴走人、南です。

今日は、前日参加したロングライフラボ主催の石坂産業様視察ツアーの振り返りを記録していきたいと思います。ドイツに行った時のような衝撃と学びがあり、建築だけでなく一消費者としての生活を考えさせられる視察でした。

 

石坂産業とは

石坂産業様(埼玉県入間郡三芳町)は、廃棄物の98%を再資源化する産業廃棄物中間処理業者で、大量生産・大量消費の現代社会から循環型社会を構築するために「自然と美しく生きる、つぎの暮らしをつくる」というミッションの基、再資源化やごみ自体を出さない仕組みづくりによって、あらゆるごみを、資源として循環させる=「ごみは価値のないもの」という思い込みがない世界と称して「Zero Waste Design」というビジョンに掲げておられる会社です。

産廃処理業社として地域とどのように関わるのか、そして経営として何にこだわりどう突き抜けるのか、さらに世界の環境・日本の環境のために何ができるのか。様々な視点で経営者としての視座が高く大変良質な学びを得ました。

 

石坂産業さんのブランドムービーはとても心を揺さぶられます。まずはこちらをご覧ください。
(視察のオリエンテーションで流れてちょっと涙したことは内緒w)

 

視察レビュー|オリエンテーション

今回アテンドいただいたのは、ロングライフラボの清水さんと石坂産業さんの高継エミリーさん。
視察の始めに会社の考えや取り組みについてまとめたオリエンテーションを受けました。

早速そこで頭をぶっ叩かれます(笑)

 

世界のゴミの量を知っていますか?

2000年に76億tだったゴミは、2025年には140億t、そして2050年までには320億tまで増えるとされています。
しかも、家庭一般廃棄物と産業廃棄物は1:9で産業廃棄物の方が圧倒的に多く、その排出の第3位にあたるのがなんと”建設系産業廃棄物”なのです。

木造の解体現場から出るゴミ

しかも、あと15年で埋立の限界が来るとか来ないとか。これは深刻な問題です。さらに、一般的な産業廃棄物処理業社でのリサイクル率は50〜70%程(ちょっと調べてみて面白かった内容)と言われているそうなのですが、石坂産業ではそれを98%まで高める取り組みをしているというから驚きです。

 

化学物質で汚染されたゴミを地球に飲み込ませる

高度経済成長期を経て、化学物質による水質・大気・土壌汚染の発生が原因となり問題となった四代公害病がきっかけとなり、環境対策が始まる訳ですが、日本での実態は素人の僕でも想像がつくぐらいに言葉ばかりで実態が伴っていないように感じます。

諸問題がありますが、ざっくり事前の知識としてどんな問題が世界にあるかをまとめると

 

・廃棄物問題 ・海洋/土壌汚染問題 ・資源の減少の問題

→ここに関しては、リサイクルが進んでいるようで実際どうなんだろうと思っていたところ。話にもありましたが、日本でのリサイクルはそう進んでいないのが現状のようです。

その中でとても印象に残ったスライドの一節がこちら
「化学物質で汚染されたゴミを地球に飲み込ませる」

表面的な安全性は至る所で言われていますが、実態は人体にとっても環境にとっても悪影響があって、それを誤魔化しながら便利を求め変わってきた日本。見て見ぬふりというよりも、無関心ではなく「無認知=知らないだけ」な人が多い(つまりは企業もということ)のではないでしょうか。私自身、自然素材の輸入商社に勤めていた経験から、海外の法制度や規制、化学物質の管理や廃棄の規制や管理については少なからず知識があります。しかし、日本では根本的な部分と、民間企業の意識、市民の意識それぞれが何かしら欠如しているように感じます。そしてのその結果が、この一節に通じるかと。この一言と上記の映像を見て、シンプルにそうだよな、絶対未来にとって良くないよなと感じた次第です。

 

次に、・資源循環の問題

サーキュラーエコノミーの取り組みへシフトしつつある世の中ですが、建築業界の皆さんの実際の部分はどうですか?

サーキュラーエコノミーとは、従来の3Rの取組に加え、資源投入量・消費量を抑えつつ、ストックを有効活用しながら、サービス化等を通じて付加価値を生み出す経済活動であり、資源・製品の価値の最大化、資源消費の最小化、廃棄物の発生抑止等を目指すものです。図2-2-1 サーキュラーエコノミー
令和3年版 環境・循環型社会・生物多様性白書より引用

建築に深く関わるジャンルの考えですが、日本での認知度は20%ちょっと、お隣韓国では意識が高く70%以上の認知があるなど、環境意識において日本は遅れを取っていますね。

さらに、

・森林破壊の問題 ・生物多様性の損失という問題

これについては、ネイチャーポジティブ(自然再興)という言葉が世界では使われるようになっています。
このネイチャーポジティブはカーボンニュートラル、サーキュラーエコノミーに次いだ世界の潮流となっているもので、生物多様性の損失を停止させ回復軌道に乗せ、2050年までに自然共生社会を実現することを目指すことを指しているのです。

 

そして、

・地球温暖化という大きな問題

2050年までにカーボンニュートラル宣言として温室効果ガスの排出を実質的に0にするという方向に世界が向かっています。石坂産業さんでは、amazonなどが加盟しているThe Climate Pledgeに加盟されているそうで、その達成を10年前倒しで目指しているそうです。

建築業界ではこの地球温暖化という点だけ声高らかに色んなところで論じられているので、意識している人も多いのではないでしょうか?しかしこれら問題を総括的に捉えて、どう対策していくかを地域工務店規模ではまだまだ考えられていないように感じます。

 

そしてSXという考えへ

SXとは、サスティナビリティートランスフォーメーションの略称だそうです。この考えは、サーキュラーエコノミー→カーボンニュートラル→生物多様性の回復という一連の流れを網羅して考えようとするもの。どれか一つに偏るとどこかで歪みが出るからこそ、3つのカテゴリー全てを網羅して考える。その意識が大切だと視察を通じて私も体験して初めて強く思うことができました。

さらにエミリーさんが続けて話していたことも印象的です。
サスティナビリティ(持続可能性)という言葉をもっとポジティブに捉えていこうということで、ここ最近使われている言葉があるそうです。それがよりポジティブに発展させていくという意味で「Regeneration(再生):リジェネレーション」という言葉だそうです。

包括的に世界の現状とその打開策に必要な言葉だと感じました。

 

オリエンテーションでは、その他にも石坂産業さんが地元に根付く中で経験してきた苦労についてや、地域の環境問題から受けたバッシングや風評被害など、色々な歴史を語っていただきました。

一部を抜粋すると、、、

ダイオキシン問題があった頃、地域から反感を買った時期があったそうです。(ダイオキシン対策をした新しい焼却炉を導入していたにも関わらず)その頃に、地域に何かできないかと清掃活動などの対外的活動を始めたり、処理工場を壁と屋根で囲み騒音・空気汚染対策を施していたりしたそうです。その一環で近隣を見て回ると、会社周辺の里山に不法投棄が絶えなかったということに気づいたそうです(農業を営んでいた場所が使われなくなったのが原因)。そしてそれを解消するために「里山をつくる」という取り組みへつながったそうです。

ちなみに、石坂産業さんはテーマパークのような里山が美しい自然豊かな場所にあります。

不法投棄の根幹には、教育があるのでは?そんな考えから、会社施設を近隣農家さんから私有地をお借りして広げて里山や様々な体験ができる施設をつくり、環境教育を行う場所として施設を運営されています。まさに、持続可能的な開発のための教育(ESD)ってやつです。

そんな歴史があってこその今の会社や取り組みなのだなと感じるのは、あの場に行って実際に体験しないとわからないので、ここではあえて割愛しておきます(笑)みなさんぜひ体験しに行ってみてください!

 

と、長々と書いてしまいましたがオリエンテーションだけでも相当の学びがありました。
長くなるので、後編に記事を分けたいと思います。

後編では、工場見学の写真や取り組みの一部、そして里山の体験がどうだったかをできるだけ写真を通じてまとめていきたいと思いますのでお楽しみに!

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